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確固たる信念(オーダシティ)と変革:ガレージ発のスタートアップが世界の医療に与えた衝撃

AAMI(医療機器進歩協会)のニュースページ「Audacity and Change: How a Garage Startup Has Impacted Global Healthcare」の翻訳です。

公開日:2026年5月31日 | 執筆:AAMI編集部

「医療は特権ではなく、誰もが享受すべきものである」――これがAAMIのミッションです。だからこそ、Project C.U.R.E.の活動は、私たちの会員や広範なコミュニティの心に深く響くのです。大胆なアイデアと、それを形にする絶え間ない行動力があれば、世界の医療の可能性を再定義することができます。

日曜日の午前、Project C.U.R.E.の社長兼CEOであるダグラス・ジャクソン博士(Dr. Douglas Jackson)が「AAMI eXchange 2026」のステージに登壇。医療資源の乏しい地域へ寄付された医療機器・サプライを提供する、世界最大の流通組織へと成長した同団体の軌跡を語りました。

現在、Project C.U.R.E.は135カ国以上の病院やクリニックに救命リソースを届けており、毎週大型セミトレーラー約4台分の物資を出荷しています。また、米国の優良チャリティ組織を評価する「Charity Navigator」「GuideStar」「Forbes」などにおいて、常にトップクラスの評価を獲得しています。これほどの実績を知る聴衆にとって、Project C.U.R.E.の始まりが、1987年にコロラド州の小さなガレージからスタートしたというエピソードは新鮮な驚きでした。


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始まりは「ガレージ一杯の医療物資」から

ジャクソン博士は、自身の生い立ちや家族でコロラドへ移住した際の話を披露しました。彼の父親の目標は「大富豪になること」でしたが、決して強欲に支配された家庭ではありませんでした。むしろ家庭内には常に幸福感が溢れており、ジャクソン博士はそこで経済的な安定の大切さを学びました。そしてその教訓が、のちに開発途上国や支援の届かないコミュニティが直面する課題や落とし穴を、より深く理解する原動力となったのです。

ジャクソン博士が発展途上企業向けの経済コンサルタントとして働き始めた頃、ある友人から余剰となった医療物資を譲り受けるようになりました。ガレージを埋め尽くしていく物資を見て、ジャクソン家族はこれらを必要としている人々へ送り届ける活動を始めたのです。

基調講演の客席で見守る両親に向けて、博士は「それはまさに愛の結晶であり、両親との共同創業の瞬間でした」と語りかけました。

「皆さんがこれから行うことの多くは、誰かからお膳立てされた招待状(インビテーション)が届くわけではありません」と博士は指摘します。法律、不動産、財務のバックグラウンドを持っていた彼らの元に、「世界の医療を変革してくれ」という招待状が向こうから届くはずもなかったのです。

ハワード・シュルツはゼロックスからスターバックスへ転身しました。誰が彼に「コーヒー業界をひっくり返してくれ」と頼んだでしょうか。スティーブ・ジョブズはアップルで革命を起こしました。「それこそが Audacity(大胆さ、確固たる信念、勇気) です。自ら主導権を握る大胆さと勇気こそが、人を前へと突き動かすのです」とジャクソン博士は熱弁しました。


世界を動かす「3つの P」

ジャクソン博士のリーダーシップのもと、Project C.U.R.E.は年間200本以上の40フィートコンテナを出荷し、C.U.R.E. Clinics プログラムを通じて医療チームを現地に派遣。さらに「Helping Babies Breathe(赤ちゃんの呼吸を助ける)」や「Helping Mothers Survive(母親を救う)」といったグローバルなトレーニングを提供しています。

Project C.U.R.E.の目標は年々拡大し続けています。では、現状を超えて前進し続けるための「確固たる信念(オーダシティ)」はどこから湧き出るのでしょうか? ジャクソン博士は、以下の 「3つのP」 を共有しました。

  • Purpose(目的): Project C.U.R.E.は、歴史を書き換えるためのツールを提供しています。「私たちが活動しなければ、分娩室から生きて出られない母親たちが大勢いるのです」と博士は語ります。
  • Passion(情熱): 情熱こそがProject C.U.R.E.を特別な存在にしています。物資を出荷する前には、必ずボランティアが現地へ赴きアセスメント(事前評価)を行います。現地の医師や看護師と直接対話し、その施設に本当に必要なリソース、スタッフのレベル、サプライ、そして医療機器の種類を特定するのです。
  • People(人々): Project C.U.R.E.の活動は多くの人々に支えられています。ボランティア活動は、セロトニン、オキシトシン、プロゲステロン、ドーパミン、エンドルフィンといった幸福ホルモンを分泌させます。社会に還元することは、自身の力になるだけでなく、素晴らしい友情やコミュニティを形成します。

ジャクソン博士は、この「3つのP」が行動として伴わないと、結果として孤独に陥る可能性があると指摘します。しかし、これら3つがすべて重なり合ったとき、「自分がなぜこの地球に生まれてきたのか、それは他者を助けるためなのだ」という本当の存在意義(You are here)に気づくことができると語りました。


臨床工学技士(バイオメド)へのメッセージ

ジャクソン博士はいくつかの成功事例を共有し、彼らのチームがどのように現地の施設をアップグレードし、患者が病院に対して抱く恐怖心を和らげてきたかを説明しました。

そして、聴衆に向けて自身の持つスキルや才能を活かすよう促し、「あなた方には世界を変える力があります。自らの喜び、情熱、そして目的を、周りの人々へと広げていってください。さあ、外に出て行動を起こしましょう!」と力強く締めくくりました。

あらゆるスキルレベルの臨床工学技士(バイオメド)の皆様を対象に、月曜日の12:30〜15:30に「2026 Repair-A-Thon(リペア・ア・ソン)」が開催されます。寄付された医療機器が安全かつ正常に機能し、限られた資源しか持たない病院やクリニックの患者に届けられるよう、あなたの専門技術を役立てる絶好の機会です。

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この記事を書いた人

Tomo(長澤 智一)
臨床工学技士 / 米国認定心血管インターベンション専門士(RCIS)

日本では体外循環(Perfusionist)を行なっておりました。米国ではカテーテル室(Cath & EP Lab)の第一線で活動する臨床工学技士。日本での臨床経験を経て渡米し、全米トップ5%にランクされる医療施設にてRCISとして従事。

自身の経験から、日本の臨床工学技士が持つ技術力の高さを確信し、その可能性をグローバルに広げるための情報発信を行う。「現場のリアルを、次世代のスタンダードに」をモットーに、医療現場レベルの正確性と誠実さを追求したキャリア支援を提案している。

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