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【全米トップ5%の現場から】米国専門誌『EP LAB DIGEST』掲載のご報告と、生きた「医療英語」への挑戦

こんにちは!コロラド州のUCHealth Memorial HospitalでRCIS(Registered Cardiovascular Invasive Specialist)として勤務している、長澤です。

本日は皆さんに嬉しいご報告があります。米国の不整脈専門誌『EP LAB DIGEST』(2026年1月号)にて、私が所属するEPチームの取り組みが特集されました!

当院のEPチームは、Watchman(左心耳閉鎖術)の症例数で全米トップ5%にランクインし、最新のPFA(パルス電界アブレーション)もすでに1,000例を超え、PFA+Watchman 同時手術などを行う、非常にエネルギッシュな最前線の現場です。今回の特集記事では、私たちが日々どのようにチームを回し、この圧倒的な実績と安全性を支えているのか、その舞台裏が余すところなく語られています。

そこで今回は、この米国トップクラスの現場の熱量とリアルな空気感を日本の皆さんにも直接お届けしたく、インタビューの「全訳」を本記事で公開することにしました。

記事の最後には、EP LAB DIGESTのオリジナル記事へのリンクも掲載しています。まずは日本語で内容を把握した上で、ぜひ生の英語記事にも触れてみてください。教科書には載っていない、現場で実際に飛び交う「生きた医療英語」を学ぶ最高の教材になるはずです!

それでは、全米トップ5%の現場のリアルをご覧ください。

目次

EP LAB DIGEST:2026年1月号(Vol. 26, No. 1)

執筆:ケイティ・スミス(RCIS)、リンジー・サラス(BSN, RN) UCHealth メモリアル病院(コロラド州コロラドスプリングス)

EP(不整脈)プログラムの設立時期と設立者、導入の背景について教えてください。

当院のEPプログラムは長年の歴史を持っています。人口の急増とリーダーシップによる電気生理学医の増員に伴い、北部病院へのサービス拡大の必要性が明確になりました。この拡張には、不整脈処置に特化した専門チームが必要でした。そのため、約5年前にEPチームはメインのカテーテル室(カテ室)スタッフから分離し、独立した組織となりました。

EP Lab Digest誌のスポットライトインタビューに掲載されたRCISの活動風景 PFAアプレーション

Source: EP Lab Digest-Spotlight-Fig1-Jan 2026 ハイメ・ゴンザレス医師と、PFA(パルス電界アブレーション)症例をサポートするEPチーム。

EPラボの規模と、最近の拡張や今後の予定は?

EPスタッフは2つのキャンパスをカバーしており、各施設に専用のEPラボが1室ずつあります。今後はメインキャンパスにさらに1室増設する計画があり、最終的には計3室の専用EPラボ体制となる予定です。

ラボの管理体制、スタッフの構成、資格、経験について教えてください。

セントラル(中央)ラボはオードリー・テイラー(MSN, RN, CCRN)が、ノース(北部)ラボはスティーブン・アンダーセン(MHA, EP-C)が管理しています。チームは、正看護師(RN)と登録心血管インターベンションスペシャリスト(RCIS)を含む11名のスタッフ、および3名の電気生理学医(ハイメ・ゴンザレス医師、ライアン・ボニー医師、ブラッド・ミカエリアン医師)で構成されています。

通常、すべての症例で麻酔科がサポートに入ります。ラボの看護師は、外回り、投薬、スクラブ(清潔介助)、およびプログラム電気刺激(PES)を担当します。コロラド州では、RNがX線装置を操作するにはRCISまたは登録電気生理学スペシャリスト(RCES)の資格が必要です。EPテクノロジストも同様にスクラブを行い、外部刺激装置を操作してPESを実施します。各キャンパスには4名のチームメンバーが配置され、役割をローテーションしながら業務にあたっています。

どのような処置を行っていますか?

上室性頻拍(SVT)、心房粗動(AFL)、心室頻拍(VT)、心室期外収縮(PVC)、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト(WPW)症候群に対する高周波アブレーション、心房細動(AF)およびAFLに対するパルス電界アブレーション(PFA)、左心耳閉鎖術(LAAO)、中枢性睡眠時無呼吸症候群に対するremedēシステム(ZOLL Medical)の植込み、永久ペースメーカ(PPM)、植込型除細動器(ICD)、両心室デバイスの植込み、Micra(Medtronic)リードレスペースメーカ植込み、併用手術(コンコミタント)、プロカインアミド負荷試験、植込型ループ録画機(ILR)の配置などを行っています。

EP Lab Digest誌のスポットライトインタビューに掲載されたRCISの活動風景

Source: EP Lab Digest-Spotlight-Fig2-Jan 2026 左から:ジェフ・スカッチ(RN)、ジェン・フレイヤー(RN)、ブラッド・ミカエリアン医師、チャド・ウォルドマン(RCIS)、マット・ゴセット(RN)、ドミニク・ロメロ(CEP)。

毎週、平均して何件程度のアブレーションやデバイス植込みを行っていますか?

2つのキャンパス合計で、週平均:PFA 11件、併用手術 6件、アブレーション 5件、ICD植込み 5件、両心室デバイス植込み 2件、PPM植込み 2件を実施しています。

EPラボの典型的な1日の流れを教えてください。

業務は午前7時に始まり、第1症例は7時30分にスタートします。毎日、デバイス、PFA、併用手術/LAAO、その他のアブレーションといった具合に、症例の種類ごとにクラスター化してスケジュールを組んでいます。

  • 月曜日: メインキャンパスでPFA/LAAOを4〜5件、もう一方のキャンパスでSVTアブレーションとPFA。
  • 火曜日: デバイスの日(PPM, ICD, 両心室, Micra等 5〜6件)。
  • 水曜日: メインで別の医師によるPFA/LAAO、もう一方でジェネレーター交換、VTアブレーション、PFA。
  • 木曜日: セントラルキャンパスでWatchman(Boston Scientific)植込みとPFA/LAAO。
  • 金曜日: メインでリード修正、SVTアブレーション、PFA。もう一方でPFA、PVCアブレーション、非定型AFLアブレーション。

チームは全症例が終了するまで各キャンパスに留まります。土日は09:00〜17:00まで、緊急のPPM植込みのためのオンコール体制をとっています。

症例の定時開始とターンオーバー(入れ替え)の効率化はどうしていますか?

毎日1名のスタッフが午前6時に出勤し、ラボの開放、機器の起動、必要なクオリティコントロール(精度管理)チェックを行います。当EPチームは部門内でも屈指のターンオーバー速度を誇り、効率的に患者さんの退出と次症例の準備を行っています。定時開始の維持に対するチームの献身性は非常に高いものです。

EP Lab Digest誌のスポットライトインタビューに掲載されたRCISの活動風景 Fig2で写真に写っていなかった私を撮ってくれた、ケイティです。

Source: EP Lab Digest-Spotlight-Fig3-Jan 2026 ジェフ・スカッチ(RN)、ジェン・フレイヤー(RN)、カースティン・ブキャナン(RN)、長澤智一(RCIS)、ケイティ・スミス(RCIS)。

新人スタッフの教育や継続教育、資格維持についてはどう取り組んでいますか?

当プログラムには強固なオンボーディング(新人研修)プロセスがあります。処置経験のない看護師は、約12週間でRNとしての役割を習得できます。スクラブ(清潔介助)担当の場合、未経験からだと通常5〜6ヶ月かかります。また、関連職種がEPラボへ転向するための「テクノロジスト・アソシエイト・パスウェイ」も用意されています。

各学習段階の目標と目的を定めた特定のオリエンテーション・アウトラインを含むパスウェイ・プログラムを構築しました。座学ではEPのコア概念をカバーし、プリセプター(教育担当者)が日々の業務をハンズオンで指導します。さらに、医師やメーカー担当者、教育チームによる専用の月例教育時間を設けています。

PFA(パルス電界アブレーション)の導入状況や初期経験について教えてください。

ボニー医師によれば、当プログラムは心房細動(AF)アブレーション戦略の中核としてPFAを取り入れています。PFAはカテーテルアブレーション技術における大きな進歩であり、非熱的な「エレクトロポレーション(電気穿孔法)」を利用して、食道や横隔神経、肺静脈といった周囲の構造物への側副損傷を最小限に抑えつつ、心筋組織を選択的に焼灼します。

2024年春にAFアブレーションへ導入して以来、すでに1000件以上のPFAアブレーションを実施しました。現在では、初回および再修復症例を含むすべてのAF患者に対してPFAを採用しています。当院の経験では、PFAは従来の熱によるアブレーション手法よりも迅速かつ安全な選択肢となり得、合併症のリスクを低減しながら効率的な病変形成を可能にしています。

EP Lab Digest誌のスポットライトインタビューに掲載されたRCISの活動風景 Whatchman 1500症例達成の写真

Source: EP Lab Digest-Spotlight-Fig4-Jan 2026 ブラッド・ミカエリアン医師、リッチ・ディーンズ(RN)、エリン・ネメック(RN)、長澤智一(RCIS)、ジェン・フレイヤー(RN)、チャド・ウォルドマン(RCIS)、クリス・クデラ(RCIS)。

EP領域における今後の主要なトレンドをどう見ていますか?

ボニー医師は、AFアブレーションにおける技術とテクノロジーの継続的な進歩を予見しています。今後の展開としては、接触圧とマッピングデータを統合して病変評価が可能なマッピングシステムや、局所的なPFAおよびRFのデュアルエネルギー照射が可能なカテーテルデザインなどが期待されています。技術的な進歩に加え、最適なアブレーション戦略を評価するための観察データやランダム化比較試験の蓄積が、AF患者のケアをさらに向上させるでしょう。

印象に残っている症例とその対応について教えてください。

ミカエリアン医師によれば、成功例が強調されがちですが、チームを最も試し、成長させるのは困難な経験です。ある日、ルーティーンで行っていた症例の終了間際に、患者が突然心嚢液貯留と心タンポナーデを発症しました。チームは即座に反応し、コミュニケーションを取りながら患者を安定させ、必要な物品を供給し、室外のスタッフと連携しました。この迅速かつ組織的な対応が患者の命を救い、その患者さんは数日後に退院し、現在も元気に過ごされています。

EP Lab Digest誌のスポットライトインタビューに掲載されたRCISの活動風景 North Hospital でペースメーカ植え込み中

Source: EP Lab Digest-Spotlight-Fig5-Jan 2026 ブラッド・ミカエリアン医師と、ペースメーカ植込みを行うEPチーム。

プログラムや病院としての「歴史的快挙」や「初の試み」はありますか?

当プログラムは、Watchman植込み件数で年初来全米トップ5%にランクインしています。メモリアル病院はこれまでに2000件のWatchman処置を実施しており、併用手術のボリュームはコロラド州で最大級です。ミカエリアン医師は、コロラド州で初めて「Watchman FLX」と「40mm Watchmanデバイス」の両方を植え込んだ医師です。

また、現在はSIMPLAAFY試験に参加しており、以前はOPTION試験やHEAL-LAA研究にも参加していました。当EPラボは、アメリカ心臓病学会(ACC)からコロラド州で初めて「HeartCARE Center」の認定を受けました。さらに、メモリアル病院はBoston Scientific社のトレーニングセンターとしての役割も担っており、同社の教育サイト「EDUCARE」でも、ミカエリアン医師の併用手術ワークフローや教育的取り組みが全米向けのトレーニングビデオとして紹介されています。

EP Lab Digest誌のスポットライトインタビューに掲載されたRCISの活動風景

Source: EP Lab Digest-Spotlight-Fig6-Jan 2026 左から:ライアン・ボ二ー医師、モリー・グレワル(J&J MedTech担当者)、リヴ・ゼレ(RN)、長澤智一(RCIS)

このEPラボとスタッフの「強み」や「特別な点」は何ですか?

当プログラムは2020年から専任のラボチームを擁しています。多くのメンバーが循環器内科病棟や他の侵襲的循環器領域の経験を持っており、患者ケアにおいて貴重な専門知識を有しています。この経験は、新しいメンバーへの教育や臨床サポートにおいて大きな利益となっています。

ミカエリアン医師によると、当チームの決定的な特徴は、「症例の中、あるいは症例をまたいで、役割をシームレスに入れ替える能力」にあります。患者やスタッフが助けを必要とする際、チームメンバーは即座に反応し、症例の移行や迅速な室内の入れ替えを促進します。チーム全員が最高レベルのケアを提供するという共通のコミットメントを持っており、それが強固なコラボレーションとチームワークの文化に反映されています。

日米の臨床現場を繋ぐ
EP Lab Digest掲載を通じて日本の医療従事者へ伝えたいこと

私が米国コロラド州のUCHealth Memorial Hospitalで、EPラボチームの一員として活動する様子が『EP Lab Digest』誌に掲載されました。国立循環器病研究センターをはじめとする日本での経験を土台に、米国の最前線で何を感じ、どう動いているのか。ここでは誌面だけでは伝えきれない「現場レベルのリアルな知見」を、日本の臨床工学技士(CE)の皆様へお伝えしたいと思います。

米国の現場で日々圧倒されるのは、インタビュー内でミカエリアン医師も言及していた「シームレスな役割の入れ替え(シームレス・コラボレーション)」という機能美です。

日本では職種ごとの業務範囲が厳格に区切られる傾向にありますが、米国のトップチームでは「目の前の患者にとって今、何が最善か」という単一の目的のもとで動きます。RN(正看護師)やRCISが互いの状況を瞬時に把握し、阿吽の呼吸でサポートし合う。このフラットで機動力の高いチームワークこそが、全米トップ5%という膨大な症例数と、合併症を防ぐ高い安全性を両立させる最大の鍵なのです。

だからといって、日本のやり方が劣っているわけでは決してありません。むしろ、日本の臨床工学技士が培ってきた「生命維持管理装置に対する深い専門性」と「手技に対する精緻さ」は、間違いなく世界で通用する強力な武器です。

そこに、米国流の「チーム全体を俯瞰し、自律的に動く力」を掛け合わせることができればどうなるでしょうか。日本のCEが持つ職能は国境を越え、さらに大きく飛躍できると私は確信しています。

実際の記事で「生きた医療英語」に触れてみよう

お待たせしました。以下が『EP LAB DIGEST』の実際の記事リンクです。
記事の後半にある「Client Challenge(現場での課題)」のセクションなど、専門用語が実際の会話の中でどう使われているのか、ぜひ生の英語に触れてみてください。

▶︎ EP LAB DIGEST (Jan 2026) オリジナル記事を読む(英語)

英語の学習を始めたい方は、こちらの記事をご覧ください。

日米の架け橋として

これからも私は、米国最前線のカテ室(Cath Lab)やEPラボから届く生々しいリアルな情報、そして日米双方の医療現場を徹底的に比較・分析することで得られた、極めて実践的な知見を継続して発信してまいります。

「米国の臨床現場に身を投じてみたい」「RCISという国際資格に挑戦し、自らの価値を高めたい」という志を持つ方。あるいは、「現在の職場のチームワークを劇的に改善し、より良い医療を提供したい」と切望する臨床工学技士や医療従事者の皆様へ。私のこれまでの歩みと積み重ねてきた経験が、皆様が次なる一歩を力強く踏み出すための、確かな原動力となればこれ以上の喜びはありません。

日本臨床工学技士会(JACE)の米国駐在員(Chief Overseas Representative Officer)として長年活動を続ける中で、私は一つの揺るぎない確信を得るに至りました。それは、日本が世界に誇る「精緻を極めた技術力」と、米国流の合理的かつ「シームレスなチーム医療」が高度に融合したとき、世界でも類を見ない、かつてないほど強力な医療チームが誕生するということです。

米国での本格的なキャリア形成はもちろん、医療従事者としての枠を超えたビジネス展開に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。日米を繋ぐ公式な窓口として、そして今この瞬間も現場に立つ現役のRCISとして、挑戦し続ける皆様の志を全力でサポートいたします。

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この記事を書いた人

Tomo(長澤 智一)
臨床工学技士 / 米国認定心血管インターベンション専門士(RCIS)

日本では体外循環(Perfusionist)を行なっておりました。米国ではカテーテル室(Cath & EP Lab)の第一線で活動する臨床工学技士。日本での臨床経験を経て渡米し、全米トップ5%にランクされる医療施設にてRCISとして従事。

自身の経験から、日本の臨床工学技士が持つ技術力の高さを確信し、その可能性をグローバルに広げるための情報発信を行う。「現場のリアルを、次世代のスタンダードに」をモットーに、医療現場レベルの正確性と誠実さを追求したキャリア支援を提案している。

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